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プレスリリース [2020年度長期予測 自動車]

 

2020年度に向けた長期的な国内自動車産業の見通し

株式会社ナカニシ自動車産業リサーチ(本社:東京都千代田区、代表:中西孝樹)は23日に2020年度に向けた長期的な国内自動車産業の見通しを発表しました。

世界新車需要は2020暦年まで年率3%強で成長し、世界販売台数は2014年比18%増の1億592万台に拡大する前提のもと、日本車メーカー8社合計のグローバル小売台数は、2020年度に向けて年率3.5%の成長が予測されます。

国内乗用車メーカー8社合計の2020年度営業利益率は、2014年度実績の7.9%から、2020年度には8.7%に上昇し、非常に高いレベルのファンダメンタルズが長期に渡って維持できる公算であります。

代表兼アナリストの中西孝樹は、「長期化が見込まれる米国経済の好調、アジアの経済成長の回復、2010年以降の国内自動車の構造対応の努力の成果、東京五輪開催などの追い風、長期にわたる好ましい為替環境の継続などが奏功し、2020年度を見通した国内自動車産業の収益環境は、過去に例を見ない長期的な安定成長期を迎える」と述べました。

5年から10年の時間軸では、競争力や価値観が覆される革命的な変化が起こらないのが自動車産業の特性ではあるものの、電子技術や情報通信技術を融合するクルマが多大な技術と価値の変革期に入っている可能性は高いと予測します。

「穏やかな変化を遂げるクルマの特性がもたらす、古い構造での勝利が延長戦に入っているとみるべきである。しばらくは勝ち続けることが可能となる。しかし、古い構造で勝ち過ぎは油断をまねき、必要な戦略対応を怠たれば、2000年代の米国メーカーのようなもろい繁栄となりかねない」と警告を発しました。

国内自動車産業は苦難を乗り越え、見事な復活劇を演じています。しかし、「稼ぐ力」と「競争力」は必ずしもイコールとは考えません。持続的な成長を確保できる競争力を構築した上で、望まれる収益性を持続的に生み出していくことがより大切になっていきます。欧州車メーカーは斬新なイノベーションを積極的に世に送り出し、米国のIT産業という異業種の挑戦も激しさを増してきました。今後のグローバル市場の構造変化とクルマの技術と価値の大きな変化を踏まえれば、日本メーカーは更なる経営努力を払わなければならないでしょう。

「自動車メーカーは商品の長いリードタイムをこなしながら、その先に来る次世代や先端の技術、商品、ブランドに先行投資を続けていかなければならない。表面化する財務的な成果も大切だが、このような開発や投資をこなしつつ、深層にそびえる真の競争力を鍛え上げていくことがより大切な段階にきている」と中西は締めくくりました。

ナカニシ自動車産業リサーチは、時代をリードする新たな調査を提供することを目指し、20年以上の経験を持つ中西孝樹が設立した独立系の自動車産業リサーチ会社です。7月29日で会社設立2周年を迎えます。

Nakanishi Research Press Release Nov 27 2014