【トップは語る】ナカニシ自動車産業リサーチ代表・中西孝樹  [Fujisankei Business-i]

■総合的観点で企業を分析

--自動車アナリストとして常にトップランクの評価を受けてきた中で、独立に踏み切った動機は

「日本のアナリストの仕事は質的な変化がなくなってきた。20代と50代が同じ仕事をしている。ずっと続けてきた証券アナリストのキャリアを発展させながら、新しいフィールドに挑戦するタイミングだと判断した」

--自身のセールスポイントは

「セルサイド(証券会社)とバイサイド(資産運用会社)の両方で自動車のアナリストとマネジメントを経験している。こうした極めて特殊なバックグラウンドを持つことで、ビジネスの表も裏もみており(自動車業界の)利害関係やビジネスモデルをよく分かっている」

--設立した会社で具体的に取り組むことは

「調査という根幹は同じだが、注力するところは変わってくる。自動車産業は為替の動向一つだけで情勢が大きく動くので、深い調査を必要としない市場になりつつある。証券会社も2008年のリーマン・ショック以降、規制が強化され、ビジネスの質が変わった。企業の本質に迫る調査よりも、投資家の行動に影響を及ぼすような結論を重視する傾向が強まっている。証券アナリストの仕事も続けるが、著作活動や大学での研究にも取り組み、総合的な観点から企業を分析したい」

--独立を機に実現したいことは

「日本は組織社会で独立系の調査を認めないところがある上、証券会社のチャンネルを持っていないと企業から情報を取れない。だが、企業側も情報を幅広く提供する方向に考えを変えないといけない時期に来ているのではないか。さまざまな形のプレーヤーがいることで、市場に調整機能が働くからだ。現状に風穴を開けることは、後に続くアナリストのためにも私がやるべき仕事だと思っている」

【プロフィル】中西孝樹

なかにし・たかき 米オレゴン州立大卒。1987年東京証券入社。山一証券などを経て2006年JPモルガン証券東京支店株式調査部長。11年BofAメリルリンチ日本証券のアジアパシフィック自動車調査統括責任者。13年6月に独立し現職。